在学中の休暇時期と卒業後の1年間、コヴェントガーデンのオペラハウス衣裳部でバレエとオペラの衣裳製作 のお手伝いをさせてもらっていたのですが、ジミなシゴトながらオペラハウス内で働くという面白さは、やはりあるものです。
ドレッサーさんという人たちがいて、衣裳を着せ付けるお手伝いなどはその人たちのシゴトなのですが、私たちもフィティングなどで直接ダンサーさんに接する機会はあります。
ステージで見るのとオフステージでの印象の違いはなかなか興味をそそるものがあるのです。
当時のロイヤルバレエのダンサーさんたち
たとえばステージ上で圧倒的な存在感を誇るダーシー バッセル ( Darcey Bussell ) さんhttp://www.darceybussell.com/
は、ホントウにイギリス人女性の平均サイズといったカンジで、普段から誰にでも笑顔で接するカジュアルで明るい雰囲気の方でした。
一方、小柄で華奢な印象のヴィヴィアナ デュランテ ( Viviana Durante ) さん
http://www.vivianadurante.com/
は、確かに小柄なのですが、さすがに優れたダンサーさんだけあって骨格やカラダのつくりはしっかりとしたカンジで、凛とした雰囲気をたたえていました。
イギリスの観客にとても愛されていた吉田 都 さん
http://www2a.biglobe.ne.jp/~kkimura/miyako/Preface.html
などは、オフステージでもホントウに可憐で華奢で、いつまでもピュアな少女のような愛らしい印象でした。
そんな風にそれぞれに違った方たちが同じデザインの衣裳を着て踊るわけですから、ある意味総合舞台デザインというのは強引なものですね。
日本でバレエの公演があるとき、観客は作品や舞台よりもむしろ個々のダンサーさんを観に行っているような感じがあります。
もちろんイギリスでもキャスティングはちゃんと発表されそれに従ってチケットも売れていくのですが、基本的に作品と舞台を観せるという姿勢が観せる側に強くあるように思われますから、ムリもないのでしょう。
それでも シルヴィ ギエム ( Sylvie Guillem ) さん
のようなプリンシパルゲストアーティストともなると、自分に似合わないと思った衣裳は着用せずに持ち込むことがありました。
舞台&衣裳デザイナー ヨランダ ソナベンドさん
ヨランダ ソナベンド ( Yolanda Sonnabend ) さんデザインの「白鳥の湖」( Swan Lake ) では、どちらかというとガッシリとしたデザインのヘッドドレスが気に入らず従来タイプの羽のついたティアラで出演したため、ヨランダさんが憤慨したといったようなハナシもありました。(笑)
けれどもヨランダさんの舞台は全体としてとても幻想的で美しくかつハイセンスな新しさもあって、私ははじめてその舞台を観たとき本当に深〜く感銘をうけたのです。
もちろんイギリスでも大好評で愛された舞台だと思います。
↑ヨランダさんデザイン 白鳥の湖 ( Swan Lake ) チャルダッシュ の衣裳
↑ヨランダさんデザイン ラ・バヤデール ( La Bayadere ) ガムザッティ の衣裳
ヨランダさんは、私の大学卒業試験の試験官のひとりでもあったのですが、尊敬するデザイナーさんに製作をジャッジして頂く緊張と興奮を、ご想像いただけるでしょうか。
みなさんのお気に入りの舞台デザインは?