バレエというのは女性のバレリーナが主役の舞台芸術で、男性ダンサーはダンスール ノーブルとして女性ダンサーをサポートし引き立てる役柄と捉えられていることが多いのだと思います。
ダンスール ノーブルとしてパートナーの女性バレリーナを支え、心配りし、その輝きや魅力を引き出し、かつ自分自身も王子様役などとしての華と気品と技術とを持ち合わせるというのは、とても大変な難しいポシションで誰もがこなせるというものではない大役でしょう。
バレエの舞台にはけっして欠かすことのできない重要な存在ですよね。
パ・ド・ドゥなどでのパートナーシップの生み出すものが、そのまま舞台全体の雰囲気につながっていると感じます。
そういったバレエとはべつに、男性ダンサーがメインとなるマスキュリンバレエ作品にもとても夢中になっていたころがありマス。
伝統的なクラシックバレエよりも激しくドラマティックで、振付も独特で全幕がほとんど踊りのみで構成されていてアクロバティックな技術も駆使されるので、とても見応えがあり何とも言えない陶酔感があるようで、いまでも機会があればもっとそういったバレエ作品の舞台を観たいデス!
グリゴローヴィチ氏のバレエ作品
かつて ボリショイバレエ ( The Bolshoi Ballet ) の芸術監督だった ユーリー グリゴローヴィチ ( Yuri Grigorovich ) 氏が全幕バレエの振付をしていたころ、『 スパルタクス 』 ( Spartacus ) などの男性ダンサー主体のマスキュリンバレエがボリショイバレエカンパニーのメインレパートリー作品で、その持ち味を存分に発揮した公演がボリショイの特徴とされていたかと思います。
↑ ロンドン公演でのグリゴローヴィチ氏とボリショイバレエのダンサーさんたち
壮大な男性ダンサーの群舞はもの凄い迫力で、はじめて舞台を観たときはそれまでのバレエに対する概念をまったく塗り替えられたかのような斬新さを感じたのです。
主役ダンサーたちのソロのモノローグシーンの挿入も特徴的で、その踊りから深い心理が伝わってくるようで引き込まれます。
とにかく全幕休みなく踊って踊って踊りまくることでストーリーがドラマティックかつ鮮やかに展開され、圧倒的迫力の舞台です!!
とってもボリショイ的なバレエだと思います。
そのバレエ衣裳も従来のクラシックバレエの衣裳とは異なっていて、男性の厳ついアーマー衣裳や、女性バレリーナの衣裳にしても動きやすいストレッチ素材ベースに薄く軽い少分量のシフォン生地のシンプルなチュニックで、色も暗めのアーストーンカラーのヴァリエーションを外れず、独特のイメージが舞台に深みを与えているようです。
ハチャトゥリアン ( Aram Khachaturian ) による音楽も壮麗で、舞台を劇的にまた情緒的に盛り上げます。
よく知られた曲のパートもあるので、ご存知の方も少なくないかと思います。
『 愛の伝説 』 ( Legend of Love ) や 『 石の花 』 ( The Stone Flower ) 等々のグリゴローヴィチ氏の他のバレエ作品も、古典バレエとはまた違った魅力に溢れていてどれも素晴らしいのですが、『 スパルタクス 』 は、あまりバレエに興味のない方にも、まだグリゴローヴィチ氏のバレエを観たことのない方にも、ぜひ観ていただきたい舞台作品デス☆
偉大なるオリジナルキャスト ウラジーミル ワシリーエフ ( Vladimir Vasiliev ) 、エカテリーナ マクシーモワ ( Ekaterina Maximova ) 、マリス リエパ ( Maris Liepa ) 、ニーナ ティモフェーエワ ( Nina Timofeeva ) 諸氏によるバレエ映画
イレク ムハメドフ ( Irek Mukhamedov ) 、リュドミラ セメニヤカ ( Ludmila Semenyaka ) 、アレクサンダー ペトロフ ( Alexander Vetrov ) 、マリア ヴィローヴァ ( Maria Bylova ) 諸氏の完璧なキャスティングによる舞台
グリゴローヴィチダンサーとしてメインで活躍していたボリショイバレエの男性ダンサー イレク ムハメドフ ( Irek Mukhamedov ) さんが英国ロイヤルバレエに移籍したときは本当に驚きでした! ( イギリスでは マカメドフ と呼ばれていまシタ )
そのチャーミングで才能溢れるダンサー ムハメドフさんについてはまたー
以下は 『 スパルタクス 』 についてのドキュメンタリー番組
かなり興味深い映像です ( ロシア語ですが ^^; )
作品のカンジを見るのにもー
http://www.youtube.com/watch?v=PJcim0Sl9Hs&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=dFoRXuHp71E&feature=related