衣装デザインの打合せなどをしていて、色が与える印象と効果については何度も繰り返し深く考えさせられマス。
役によってほとんど決まってしまっている色があり、また個人個人によって異なった似合う色というのがあり、ステージデザインや他の衣裳に合わせる色があり、使用生地素材により限られてしまう色があり、そしてもちろん色の好き嫌いもあり。。。
さらに、たとえばひとくちに赤と言っても、真っ赤な明るく濁りのない赤もあれば、オレンジがかった朱赤っぽい赤、紫っぽいニュアンスのあるローズ系の赤、茶色のタッチが加わった落ち着いた赤もあり、深いエンジのようなワインレッド等々、その色味の微妙な加減には限りがないようです。
加えて多様な色の組み合わせは想像力をより複雑にし、今までの経験とセンスをフルに働かせようと必死になりマス。
そしてそれらの色がステージ上にのって照明にあたったときに、どんな色に出てくるのかを考えると、色の使い方というのはホントウに難しいです。
同じような色合いでも生地によって舞台上での見え方が全く異なってくることも、
充分に考慮しなくてはなりません。
カンパニーのカラーイメージ
たとえば、昔からのロイヤルバレエのステージ全体の色味のベースには茶褐色っぽいアースカラーを感じるコトが多いのに対し、マリインスキーバレエはその劇場自体のメインカラーでもあるブルーを強く感じ、パステルカラーを基調としたフェアリーテイルっぽい印象のデザインが伝統のようです。
パリオペラのステージはさすがクチュール発祥の地と言うべきか、ちょっと独特でハイセンスな色使いが見られます。
たとえば、ドンキのキトリの衣裳も赤×黒ではなく茶系オレンジの組み合わせのものがあったり、イエローとパープルという斬新な色の組み合わせながらも品格を感じるチュチュがあったり、ステージ全体やコールドバレエの衣裳の色使いにも意外な深みがあったりして目を奪われたり。
それに比べて、やはりABTのステージは都会的でスタイリッシュなシンプルトーンや、アメリカらしい鮮やかでハッキリした原色使いが目立ち、メトロポリタンらしいストレートなエネルギッシュさを感じます。
そんなふうにそれぞれのカンパニーに感じる色を考えていくと、よくカンパニーの特徴として「カンパニーカラー」という表現が使われますが、まさにカラー「色」が各カンパニーを特色づけている部分は大きいのかもしれないなあ〜と思うのです。